本物の平常心、偽物の平常心
「前日の予行演習ではうまく説明できたプレゼンが、当日は頭が真っ白になってしまって、説明がしどろもどろになってしまった。」「模擬テストでは解けた問題が、本番の試験会場では解答できなかった。」といった経験をしたことはありませんか?s-CX106_L

また、もしあなたがゴルフをするのであれば、「家で毎日パターの練習をしているのに、本番では1mのパターですら入らなくなってしまった」といった経験や、テニスをするのであれば、「練習では難なく決められるスマッシュやボレーを、試合本番で外してしまった」といった経験があるのではないでしょうか?

そんな経験をしているあなたは、練習場でボールを打っていたあの瞬間、会議前日に一人で予行演習に取り組んでいたあの瞬間こそが、本来あるべき適度にリラックスした「平常心」で、本番でも「そんな心の状態を維持したい」と考えていませんか?

実は、ここに「平常心」に対する大きな誤解があります。プレッシャーがかかっていない状態では、確かにリラックスして、落ち着いていますが、それは本当の意味での「平常心」ではないのです。いわば「偽物の平常心」です。

「偽物の平常心」は、純粋にリラックスして体の力が抜けている状態です。反対に、「本物の平常心」とは、リラックスしているのだけれども、同時に適度に緊張していて、そのバランスを保っている状態です。 仕事においても、スポーツにおいても、高い成果を発揮するためには、この緊張とリラックスの適度なバランスが非常に大切です。

s-CX092_Lあるテニス選手に平常心の指導をしたとき、以前、彼がコーチから、試合中にリラックスするための方法の指導を受けたことがあると話してくれました。彼が受けた指導というのは、具体的には、ソファに横たわったり、地面に横になったりして、体の力を抜いて、ゆっくり深呼吸を繰り返すというものだそうです。 この方法で、確かに自宅ではリラックスできたそうです。

しかし、そのダラーっとしたリラックス状態は、試合中の緊張したメンタル状態とはあまりにも異なり、役に立つとは思えなかったので、続かなかったという経験があったそうです。

本書で提唱する「リラックスした緊張」を作り出す平常心メソッドを指導したところ、すぐに、これなら試合中や試合直前だけでなく、練習中も十分に使えそうだと納得してくれました。

というのも、「リラックスした緊張」とは、スポーツだけでなく、仕事や勉強のための「集中状態」とも言えるものだからです。

仕事においても、スポーツにおいても、高い成果を発揮するためには、この緊張とリラックスの適度なバランスが非常に大切です。

拙書『「ここ一番に強い自分」は科学的に作り出せる』から