あがり症克服に向けての基本姿勢

 


あがり症を克服するための基本姿勢

大会で力を発揮できるかどうかは、それまでどれだけ練習してきたか次第。しっかり準備して、自信を持って本番に挑めるようになることが大事。s-GV057_L

本番不安に対して、こんな精神論を平然と語る人がいます。決して間違っていません。一般的に、自信があれば、緊張や不安は緩和されます。確かにそれは「ある程度は」本当です。

しかし、そもそも、心底からの自信を持って、大会本番を迎えられる人がどれだけいるでしょうか?やり残した練習など、考え始めたらきりがありません

また、あがり症克服の本を書く人や、インターネットで情報を提供している専門家のほとんどが、「自分はこうやって克服した」的な実体験をベースにしています。成功イメージだとか、全てプラスに考えるだとか。もっとひどいのは、何かを食べるとか・・・。

このような情報が、むしろ多くの人を不必要に迷わせているように思います。もういい加減な経験論や精神論は要りません。

科学的裏付けのある正しい知識を持って、きちんとトレーニングを続ければ、大事な場面でも適度に緊張し、適度にリラックスした状態、「平常心」を再現し、努力に見合った成果を受けとることが可能だからです。

私は自分のあがり症克服体験を語ることはできません。しかし、あがり症の科学的メカニズムと、これまでメンタル指導してきたクライアントの克服体験について語ることはできます。それがきっとあなたのお役に立てると思います。


なぜ平常心なのか?

「あがり症」で本番に弱いあなたに必要なのは「平常心」です。なぜなら、あなたが大事な場面でも、適度に緊張し、適度にリラックスした「平常心」でいることができれば、過度にあがることなく、本当の力を発揮することができます。

s-CX092_L「平常心」と聞くと、「根性を鍛える」、「考え方を変える」といった精神論で語られることが多いのですが、実のところ「平常心」は科学的に説明がついており、一定の条件さえ整えば、誰にでも再現できる心身の状態なのです。

つまり、正しいフォームで素振りを続ければ、テニスやゴルフが必然的に上達するように、正しくトレーニングを続ければ、必然的に「平常心」が身につき、誰もがあがり症を克服することができるのです。

平常心メソッドとは、この「平常心」を習得するためのメンタルトレーニング方法です。平常心メソッドが身につけば、あなたはいつでもどこでも自在に「平常心」を再現できるようになり、自分本来の力を発揮できるようなります。苦手な相手やプレゼンにも自信を持って臨むことができるようになり、スポーツの試合や試験に集中して取り組むことができるようになります。

平常心メソッドによって、科学的にいつでも再現できる「平常心」を身につけ、あなた本来の力を存分に発揮し、充実した人生を手に入れてください。

平常心メソッドを続けていて、人前であがる度合いが、時を増すごとに低くなっているのを感じます。先月、横浜で行われた全国規模の学会で発表した時も、足が震えることもなく、自分を見失うこともなく、淡々としている自分に驚きました。また、発表後の感情のクールダウンの必要もなくなりました。すごいですね。

<T.T.さん 40代男性>


本物の平常心、偽物の平常心

「前日の予行演習ではうまく説明できたプレゼンが、当日は頭が真っ白になってしまって、説明がしどろもどろになってしまった。」「模擬テストでは解けた問題が、本番の試験会場では解答できなかった。」といった経験をしたことはありませんか?s-CX106_L

また、もしあなたがゴルフをするのであれば、「家で毎日パターの練習をしているのに、本番では1mのパターですら入らなくなってしまった」といった経験や、テニスをするのであれば、「練習では難なく決められるスマッシュやボレーを、試合本番で外してしまった」といった経験があるのではないでしょうか?

そんな経験をしているあなたは、練習場でボールを打っていたあの瞬間、会議前日に一人で予行演習に取り組んでいたあの瞬間こそが、本来あるべき適度にリラックスした「平常心」で、本番でも「そんな心の状態を維持したい」と考えていませんか?

実は、ここに「平常心」に対する大きな誤解があります。プレッシャーがかかっていない状態では、確かにリラックスして、落ち着いていますが、それは本当の意味での「平常心」ではないのです。いわば「偽物の平常心」です。

「偽物の平常心」は、純粋にリラックスして体の力が抜けている状態です。反対に、「本物の平常心」とは、リラックスしているのだけれども、同時に適度に緊張していて、そのバランスを保っている状態です。 仕事においても、スポーツにおいても、高い成果を発揮するためには、この緊張とリラックスの適度なバランスが非常に大切です。

s-CX092_Lあるテニス選手に平常心の指導をしたとき、以前、彼がコーチから、試合中にリラックスするための方法の指導を受けたことがあると話してくれました。彼が受けた指導というのは、具体的には、ソファに横たわったり、地面に横になったりして、体の力を抜いて、ゆっくり深呼吸を繰り返すというものだそうです。 この方法で、確かに自宅ではリラックスできたそうです。

しかし、そのダラーっとしたリラックス状態は、試合中の緊張したメンタル状態とはあまりにも異なり、役に立つとは思えなかったので、続かなかったという経験があったそうです。

本書で提唱する「リラックスした緊張」を作り出す平常心メソッドを指導したところ、すぐに、これなら試合中や試合直前だけでなく、練習中も十分に使えそうだと納得してくれました。

というのも、「リラックスした緊張」とは、スポーツだけでなく、仕事や勉強のための「集中状態」とも言えるものだからです。

仕事においても、スポーツにおいても、高い成果を発揮するためには、この緊張とリラックスの適度なバランスが非常に大切です。


平常心の科学

平常心は見ることができる。私がそんなことを言ったら、あなたは驚くかもしれません。しかし、本当に平常心は見ることができるのです。ただし、バイオフィードバック機器というものを使っての話です。バイオフィードバックとは、「バイオ=生体」の「フィードバック=情報を返す」という意味で、センサーなどを使うことで、様々な生理情報を、リアルタイムで計測し、モニタなどに映し出してくれる装置です。

Health care portable monitoring equipment嘘発見器(ポリグラフ)は、バイオフィードバックの一番わかりやすい例です。嘘発見器では、嘘をついたときに動揺するという生体反応(=ストレス反応)を検出し、それをグラフ化するものです。最近では、テレビのバラエティー番組などでも、ポリグラフをよく見かけるようになりました。

ストレス反応を検出できるということは、反対に考えると、冷静で落ち着いているとき(=ストレス反応が起きていない状態)も測定でき、観察することができるということになります。

しかし、冷静で落ち着いているときとは、一体どういう状態なのでしょうか?

よく知られているのが「α波(アルファ波)」という脳波が出ている状態です。モーツアルトなどの音楽や川のせせらぎなどの自然音を聴いていると、またヨガなどをしてリラックスしていると、自然にα波が出てくるといわれています。

α波は、確かにリラックスしている状態の目安ではあることは間違いないのですが、それはむしろ「偽物の平常心」、つまり、単純にリラックスしているときの状態です。本サイトで強調している「本物の平常心」は、適度に緊張し、適度にリラックスした状態です。

近年、心理学・神経学の世界で、そんな状態があることが分かってきており、レゾナンスと呼ばれています。

心理学・神経学の研究から判明しているのは、ストレスがかかっている状態では、心拍数は速くなったり、遅くなったり、非常に不規則になり、心拍数の変化(心拍パターン)は下記のイラストのようになります。

stress

反対に、冷静で落ち着いている状態では、心拍数は、速くなったり、遅くなったりを安定的に繰り返し、心拍パターンは非常に規則的な波を描きます。

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心拍数が上昇するということは、自律神経系の交感神経が高まり、体が緊張することであり、心拍数が下降するということは、副交感神経が高まり、体が弛緩(リラックス)するということです。つまり、レゾナンスは、体が緊張させる交感神経の働きと、体をリラックスさせる副交感神経の働きが、交互に一定のリズムで繰り返している状態といえます。言ってみれば、アクセルとブレーキの動きがコントロールされ、一定のスピードを保っている、というような状態です。

レゾナンスとは「共鳴・同調」という意味ですが、レゾナンスに入ると、心拍数だけでなく、自律神経、循環器、脳神経など、私たちの生理機能の多くが、同じリズム(約0.1Hz=10秒)で同調することがわかっています。

昔からよく使われる「心身一如(しんしんいちにょ)」とは、「精神と肉体が一体になること」「物事に向かって集中している様子」を意味しますが、レゾナンスは、まさに体と脳が一体のリズムで動いている状態といえるのです。

拙書『「ここ一番に強い自分」は科学的に作り出せる』から