演奏・ダンスでの活用

バレエや演劇や舞踏、さらには合唱や演奏などにおいて、練習では上手くできるのに、舞台発表やコンテストでは極度に萎縮してしまい、本当の力が発揮できないで悔しい思いをしてきませんでしたか?

EG078_Lまた、劇団やオーケストラなどのオーディションにおいても、本当の力を発揮できずに失敗してしまい、努力に見合わない状態に甘んじていませんか?

素人や初心者だけでなく、その分野では卓越した才能や技術を持っているにもかかわらず、過去の失敗やトラウマを引きずってしまっていて、次の一歩が踏み出せないでいるプロフェッショナルも少なくありません。

アメリカでは、音楽家にみられる「あがり症」は、Music Performance Anxiety(MPA;音楽演奏不安症)と呼ばれています。そしてこれが、音楽専攻の学生が本来の才能を伸ばしきれなかったり、自信をなくして途中で専攻を変えてしまう大きな原因となっていると考えられています。

小学生の頃、ピアノの発表会で緊張のあまり途中で曲を忘れてしまい、演奏が止まってしまったという女性。頭が真っ白になり、逃げだしたいほどの恐怖を感じました。その時「自分は人前で演奏することに向かない」と感じて、レッスンを辞めてしまいました。大人になってから思い出してみると、ピアノでいろいろな曲を演奏すること自体は大好きだったことを思い出し、もうちょっと続けていれば良かったなぁと後悔しています。

ある若手ヴァイオリニストが、とあるコンクールに出場することになり、一日何時間も練習して、暗譜も完ぺきに行って臨んだ当日。舞台袖で、前の出場者の演奏を聴いているうちに、「ミスしたらどうしよう」という不安が止まらなくなり、ただでさえテクニックを要する曲なのに指が思うように動かず、何度もミスしてしまいました。結果は当然芳しくなく、悔しい気持ちでいっぱいです。

電子オルガン講師を目指している女性は、講師になるための認定試験に何度もトライし続けています。彼女が苦手なのは即興演奏や初見演奏即興演奏は、これまで何度も試験に失敗しているために、譜面を見ているだけで心臓がドキドキして息苦しくなり、構成を考えるどころではありません。あまりの息苦しさに試験を棄権しようと思ったこともありますが、深呼吸してなんとか試験に臨んでいます。試験官の前に立つと緊張はピークに達し、実力は発揮できないまま試験が終わってしまいます。早く講師になって子供たちに音楽の楽しさ、素晴らしさを教えたいという夢を持っているのに、認定試験がなかなかクリアできずに焦りを感じる日々を送っています。

中学生時代に吹奏楽部でトロンボーンを吹いていた男性は、40代になって再び音楽への気持ちが高まり、社会人で構成されている吹奏楽団に思い切って入団しました。アマチュア楽団とはいえ、メンバーは長年在籍しているベテランが多く、目標は夏の吹奏楽コンクールで勝ち抜くこと。男性もコンクール出場メンバーとして仕事の合間に練習に励みましたが、コンクール本番でアガってしまい、大事なソロをミスしてしまいました。結果は県大会止まり。彼のミスのせいではないと周囲は励ましてくれましたが、コンクールに出場すること自体が憂鬱となり、結局楽団を辞めてしまいました。

音楽大学で指揮法を専攻している男性は、学内のオーケストラで指揮経験を積んでいます。CDを聴きながらオーケストラスコアを何度も読み込み、指示もペンでビッシリ書き込むなど勉強熱心ですが、いざオーケストラのメンバーを前にした練習になると、手が震えてしまい、的確な指示を出すことが出来ません。緊張がひどい時にはテンポをキープすることもままならず、だんだんメンバーが自分を白い目で見ているような不安感に陥るようになってしまいました。彼は専攻を変えることも考えています。

演技・演奏における過緊張の改善には、平常心メソッドがとても有効です。なぜなら、平常心メソッドは「言葉や思考に頼らない」メンタルトレーニングであり、もとより感性での表現が重視される音楽やパフォーマンスアーツとの相性が優れているからです。


事例:アマチュア音楽家

社会人のFさん(40代・女性)は、音大出身でも、プロ演奏家でもありませんが、これまでの人生の多くの時間を演奏に費やしてきました。

幼少のころからピアノを習い、高校と大学では吹奏楽部で熱心に活動していました。社会人になり、一般企業に就職してからは、新たにバイオリンを始め、アマチュアオーケストラに入団。そして、この10数年近く、年に1-2回のコンサートに参加してきました。

10代、20代のころは、演奏でひどい緊張を感じることはありませんでしたが、この数年、なぜか人前で演奏することに対して、とても緊張するようになりました。

その過緊張は、演奏会だけでなく、定期的に通っているピアノとバイオリンの個人レッスンでも起こるようになり、先生の前で演奏する時でさえ、自宅で練習してきたように演奏できなくなっていました。そのため、せっかくの個人レッスンを受けても、新しい課題曲がなかなか上達しないジレンマにも陥っていました。

昨年秋、教室のピアノ演奏会で、演奏中に手が止まってしまったことがきっかけとなり、インターネットで石井塾を見つけました。慎重なFさんは、事前に拙書『ここ一番に強い自分は科学的に作り出せる』を購入し、納得してから来塾しました。

その時の申込メールがこれです。

初めてメールさせて頂きます。趣味でピアノとバイオリンを演奏しており、年数回、演奏会や発表会があるのですが、過度に緊張してしまい全く力を出すことができません。 学生の頃はそこまでひどくはなかったのですが、社会人になってから徐々に緊張するようになってしまいました。練習量を増やしたり、メンタルを鍛える方法を色々と試しましたが、緊張が収まることはなく普段の力の半分も出せません。先月のピアノの発表会ではとうとう途中で止まってしまい大変落ち込んでいます。

弾く前も緊張していますが弾き始めると更に緊張が増してしまい、どうにもならない状況になってしま います。練習が生かされず実力が全く発揮できない状況に情けなくなっています。また、レッスンでも常に緊張してしまい、楽しいはずの趣味が苦痛に変わってきています。この状態が10年以上続いています。 演奏の他にも、大勢の人の前や、大事な会議などでの発言はとても緊張してしまい、声が震えてしまいます。こちらも演奏同様、悩んでいます 。 とにかく、本番近くになると、まず先に心臓がドキドキしてしまい、筋肉が固まって体がうまく動かなくなってしまいますのでこの状態をなんとかしたいのです。練習した分だけ実力が発揮できるよう楽しく演奏出来るようになりたいです。

1月末にバイオリンの演奏会があり、少しでも改善出来たらと思っています。 発表会の失敗の後、偶然こちらのHPを見つけ内容を見てみたところ、その考えにとても共感できたため、本を購入して読ませて頂きました。 とても納得・理解できる内容でした。ぜひ実際に相談させて頂きたいと思いメール致しました。宜しくお願い致します。

実はFさんは、以前、あがり症を軽減する「ベータ遮断薬」というのも試してみたことがあるそうなのですが、演奏のときには、あまり効果がなく、止めてしまっていたそうです。

入塾してから3ヶ月、10回のセッションのあとに、オーケストラの演奏会に参加しました。

ピアノの発表だけでなく、大人数でのオーケストラでも、この数年、満足いく演奏ができていなかったFさんですが、この演奏会では、序盤こそ少し緊張したものの、途中からは気持ちよく弾けるようになり、終盤においては、Fさんが特に好きな交響曲を演奏中に、全身に鳥肌が立ったような感覚を体験したそうです。

本当に長い間、体験できていなかった、音楽を演奏する人だけが得られるはずの喜びを、取り戻した瞬間でした。

EG148_Lまた、普段のピアノとバイオリンの個人レッスンでも、先生の前で緊張することはほとんどなくなり、レッスンが楽しくなり、課題曲もどんどん上達できるようになっていると報告をくれています。

Fさんは、仕事面でも、苦手な上司との関係が楽になったり、会議などでも、緊張することが少なくなったと報告をくれています。

たったの3か月で、ここまで変わるとは、正直、思っていなかったそうです。

でも、私からすれば、こちらが与えた課題を、しっかりとこなして来ていたので、改善することは目に見えていました。とはいえ、鳥肌が立つような演奏の喜びを、3か月で体験できたのは、さすがに予想以上で、やはりFさんの努力の賜物だと思います。

苦痛に変わっていた趣味の音楽活動が、改めて、人生を充実させる趣味に戻すことをお手伝いできたことを、とてもうれしく思います。