ストレスの本質は「闘うか逃げるか」

これまでのところで、「緊張」や「不安」といった感情は、ストレス反応から生まれているということ、そして「緊張しすぎる」とは、ストレス反応が過大に起きている状態である、ということがわかって頂けたと思います。

それでは私たちはどうして、ストレス反応という、緊張やあがりの元凶となるやっかいなメカニズムを身につけてしまったのでしょうか?

この理由をきちんと理解すると、ストレスをエネルギーに変えて能力を発揮できる理由がわかります。

やや専門的な話になりますが、詳しく解説していきます。

CapD20150517_1結論から言うと、ストレス反応は、動物が長い進化の過程で身につけた生存のためのメカニズムです。

このメカニズムを約80年前に発見したウォルター・キャノンという学者は、ストレス反応を「闘うか逃げるか」反応と名付けました。

たとえば、ネズミが野生で生き残るためには、蛇という「外敵」を見るだけで、「闘うか逃げるか」のためのエネルギーを体の中に確保するメカニズムを身につける必要があったのです。

そのメカニズムを身につけなかったネズミは、逃げ遅れて、滅んでいき、ストレス反応を身につけたネズミと、その子孫だけが、敵から上手に身を守り、長い進化の過程で生き延びてきたのです。

ストレッサーを感じると、心臓がドキドキするのは、「闘うか逃げるか」のために必要なエネルギーを確保するためです。つまり、全身により多くの血と酸素を送るためなのです。これは人間だけでなく、全ての動物、それどころか、魚類から鳥類まで、身につけているメカニズムです。

ほとんどの動物は、このストレス反応を、生存のため、まさに「闘うか逃げるか」のエネルギーとして使います。これにより、動物は、敵から襲われたときに、跳んだり走ったり、その本能的能力を最大限に発揮することができるのです。

拙書『「ここ一番に強い自分」は科学的に作り出せる』から